IPアドレスの固定を検討しているものの、「デメリットはないのか?」「本当に自分に必要なのか?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。実は「IPアドレスの固定」には2つの意味があり、それぞれデメリットもメリットも異なります。
プロバイダ契約で取得するグローバルIPの固定と、ルーターやPC側で設定するプライベートIPの固定では、かかるコストもリスクもまったく別物です。
本記事では、両者の違いを整理したうえで、それぞれのデメリット・メリット・対策方法まで網羅的に解説します。
IPアドレスの固定には2種類ある|まず知っておきたい前提知識
「IPアドレスを固定する」と一口に言っても、実際には2つのまったく異なる操作を指しています。この違いを理解していないと、必要のないサービスに申し込んでしまったり、逆に本当に必要な設定を見落としたりする原因になります。
グローバルIPアドレスの固定とは
グローバルIPアドレスとは、インターネット上であなたの回線を識別するための番号です。通常、プロバイダから自動的に割り当てられ、ルーターの再起動や一定期間の経過で番号が変わります。これが「動的IP」と呼ばれる仕組みです。
グローバルIPを固定するには、プロバイダの有料オプションに申し込むか、VPN型の固定IPサービスを利用するのが一般的です。リモートワークで社内システムにアクセスしたい場合や、自宅サーバーを公開したい場合に必要になります。
プライベートIPアドレスの固定とは
プライベートIPアドレスは、自宅や社内のネットワーク(LAN)内でルーターが各端末に割り振る番号です。「192.168.x.x」のような形式で、外部のインターネットからは見えません。
プライベートIPの固定は、PCやスマホ、ゲーム機のネットワーク設定から無料で行えます。ゲーム機のポート開放やNAS(ネットワークHDD)の接続安定化など、家庭内のネットワーク管理で活用されます。
両者を混同しないための整理
| グローバルIPの固定 | プライベートIPの固定 | |
|---|---|---|
| 対象 | インターネット上のIPアドレス | LAN内のIPアドレス |
| 設定場所 | プロバイダ契約 or VPNサービス | PC・スマホ・ゲーム機の設定画面 |
| 費用 | 月額500円〜3,000円程度 | 無料 |
| 主な用途 | リモートアクセス、サーバー公開、IP制限 | ポート開放、Wi-Fi安定化、機器管理 |
ルーターの設定画面で「192.168.x.x」を固定する操作は、プライベートIPの話です。プロバイダの固定IPオプションとは別物なので、目的に合った設定を選んでください。
グローバルIPアドレスを固定するデメリット
まずは、プロバイダ契約やVPNサービスで取得するグローバル固定IPのデメリットから見ていきましょう。
追加コストが発生する
グローバルIPの固定には、月額1,000円〜3,000円程度の追加料金がかかるのが一般的です。プロバイダの固定IPオプションとして提供されるケースが多く、通常のインターネット料金に上乗せされます。個人利用ではなかなか気軽に出せる金額ではありません。
ただし、最近ではVPN型の固定IPサービスが登場しており、月額500円台から利用できるものもあります。コスト面のハードルは以前より下がってきています。
サイバー攻撃の標的になりやすい
動的IPは定期的に番号が変わるため、外部から特定の端末を狙い続けるのが困難です。一方、固定IPは常に同じ番号が使われるため、一度特定されると継続的に攻撃を受けるリスクがあります。
とくに、ファイアウォールの設定が不十分なまま固定IPを使っていると、不正アクセスの入口になりかねません。固定IPを導入する場合はセキュリティ対策とセットで考える必要があります。
IPアドレスの変更に手間と時間がかかる
動的IPなら、ルーターを再起動すればIPアドレスが変わります。しかし固定IPの場合、万が一IPアドレスが漏えいしてサイバー攻撃を受けた際、すぐにIPを変更することができません。プロバイダへの申請や再設定が必要になり、対応に時間がかかります。
対応プロバイダが限られる
すべてのプロバイダが固定IPオプションを提供しているわけではありません。現在契約中のプロバイダが非対応の場合、回線ごと乗り換える必要が出てきます。乗り換えに伴う工事費や違約金も考慮しなければなりません。
グローバルIPアドレスを固定するメリット
デメリットがある一方で、グローバルIPの固定にはビジネス・個人を問わず大きなメリットもあります。
社外から社内システムへ安全にアクセスできる
多くの企業では、セキュリティ対策として「許可したIPアドレスからのみアクセスを受け付ける」設定を導入しています。固定IPがあれば、自宅やカフェなど社外からでも社内のVPNやグループウェアに安定して接続できます。リモートワークが当たり前になった現在、固定IPの需要は年々高まっています。
IPアドレス制限によるセキュリティ強化
固定IPを使えば、クラウドサービスや管理画面へのアクセスを特定のIPアドレスだけに制限できます。不特定多数からのアクセスを遮断できるため、情報漏えいや不正ログインのリスクを大幅に低減できます。
自宅サーバーやVPNの構築が可能になる
自宅でWebサーバーやファイルサーバーを公開する場合、IPアドレスが変わるたびに接続先を更新する必要があります。固定IPなら常に同じアドレスでアクセスできるため、独自ドメインとの紐づけも安定します。
オンラインゲームのサーバー公開・ポート開放に有利
MinecraftやValheimなどのゲームで自分のPCをサーバーとして公開する場合、固定IPがあるとフレンドが毎回アドレスを確認する手間がなくなります。また、IPv4 over IPv6環境ではポート数に制限があるケースがありますが、固定IPサービスを利用すればポートの制限がなくなり、ポート開放も安定して行えます。
プライベートIPアドレスを固定するデメリット
次に、PCやスマホ、ゲーム機側で設定するプライベートIPの固定について、デメリットを確認しましょう。こちらはプロバイダ契約とは無関係で、費用もかかりません。
IPアドレスの競合(重複)が起きる可能性
プライベートIP固定の最大のリスクは、IPアドレスの競合です。ルーターのDHCPが自動で割り当てるアドレスと、手動で固定したアドレスが重複すると、どちらかの端末がネットワークに接続できなくなります。
対策としては、DHCPの割り当て範囲外のアドレスを固定IPに指定するのが基本です。たとえばDHCPが「192.168.1.2〜192.168.1.50」を自動割り当てしているなら、固定IPには「192.168.1.100」以降を使うと競合を避けられます。
端末ごとに手動設定が必要
プライベートIPの固定は、端末ごとに個別の設定が必要です。Windows、Mac、iPhone、Android、PS5、Switchなど、それぞれ設定画面や手順が異なります。端末の台数が増えるほど管理が煩雑になり、設定ミスも起こりやすくなります。
ネットワーク構成変更時の管理負担
ルーターを買い替えたり、ネットワーク構成を変更した場合、固定していたIPアドレスの体系が変わる可能性があります。そうなると、すべての端末の設定を見直さなければなりません。家庭内で10台以上の機器を接続している場合、この作業はかなりの手間です。
プライベートIPアドレスを固定するメリット
手間はかかるものの、プライベートIPの固定には実用的なメリットもあります。
Wi-Fi接続が安定する
DHCPの自動割り当てでは、端末がスリープから復帰した際やルーター再起動後にIPアドレスが変わることがあります。この切り替え時に一時的に接続が不安定になるケースがあり、IPを固定しておくと、こうした接続の途切れを防げます。
ゲーム機やIoT機器の接続トラブルが減る
PS5やNintendo Switchなどのゲーム機は、IPアドレスが変わるとNATタイプの判定に影響が出ることがあります。プライベートIPを固定しておけば、NATタイプが安定し、マルチプレイ時の接続エラーを軽減できます。ネットワークカメラやスマートホーム機器の管理にも有効です。
ポート開放の設定が維持しやすい
ルーター側でポート開放(ポートフォワーディング)を設定する際、転送先のIPアドレスを指定する必要があります。DHCPで端末のIPが変わってしまうと、ポート開放の設定が機能しなくなります。プライベートIPを固定しておけば、ポート開放の設定を一度行うだけで済みます。
IPアドレスの固定が必要な人・不要な人の判断基準
「結局、自分には固定IPが必要なのか?」と迷っている方のために、判断基準を整理します。
グローバルIPの固定が必要なケース
以下に当てはまるなら、グローバルIPの固定を検討する価値があります。
- リモートワークで、IP制限のある社内システムにアクセスする必要がある
- 取引先や金融機関のシステムから固定IPの取得を求められている
- 自宅サーバーやVPNを構築して外部からアクセスしたい
- オンラインゲームのサーバーを自宅PCで公開したい
プライベートIPの固定が必要なケース
以下の場合は、端末側でプライベートIPを固定するだけで解決できます。プロバイダへの申し込みや追加料金は不要です。
- ゲーム機のNATタイプを改善したい・ポート開放を安定させたい
- Wi-Fi接続が不安定で、接続が途切れることがある
- NASやネットワークプリンターなど、常に同じアドレスで管理したい機器がある
固定しなくても問題ないケース
Webサイトの閲覧やSNS、動画視聴、メールの送受信といった一般的なインターネット利用であれば、IPアドレスの固定は不要です。動的IPのままでまったく問題ありません。「なんとなく固定したほうがいいのでは」と考えている方は、まず自分の用途を確認してみてください。
IPアドレスを固定するデメリットへの対策方法
固定IPのデメリットは、適切な対策を講じることで大幅に軽減できます。
セキュリティリスクへの対策
グローバル固定IPを利用する場合、最低限以下の対策は行いましょう。
- ルーターのファイアウォールを有効にする
- Windows Updateやセキュリティソフトを最新に保つ
- 不要なポートは閉じておく
- リモートデスクトップのパスワードを強固にする
VPN型の固定IPサービスを利用する場合は、VPN接続自体が通信を暗号化するため、公衆Wi-Fiなど安全でないネットワークからの接続時にもセキュリティが確保されます。
コストを抑えるならVPN型固定IPサービスが有力
グローバルIPの固定で最もネックになるのがコストです。プロバイダの固定IPオプションは月額1,000円〜3,000円が相場ですが、VPN型の固定IPサービスなら月額500円台から利用でき、プロバイダや回線を問わず導入できます。
たとえば「ロリポップ!固定IPアクセス」は月額539円(税込)で利用でき、最大2ヵ月間の無料期間も用意されています。

WireGuardプロトコルを採用しているため通信速度の低下も最小限に抑えられ、Windows・Mac・iOS・Androidなど主要なデバイスに対応しています。
詳しい人プロバイダの固定IPオプションは自宅の回線でしか使えませんが、VPN型ならカフェやモバイルWi-Fiからでも同じ固定IPでアクセスできるのが大きな利点です。リモートワークや外出が多い方にはVPN型が向いています。
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IPアドレスの固定方法【デバイス別】
ここからは、プライベートIPアドレスの固定方法とグローバルIPの取得方法をそれぞれ解説します。
Windows 11/10でプライベートIPを固定する方法
Windows 11の場合、「設定」→「ネットワークとインターネット」→ 接続中のネットワークを選択 →「IP割り当て」の「編集」から設定できます。「手動」に切り替えて、IPv4をオンにし、IPアドレス・サブネットマスク・ゲートウェイ・DNSサーバーを入力します。
Windows 10でも基本的な手順は同じです。「設定」→「ネットワークとインターネット」→「状態」→「アダプターのオプションを変更する」から、接続中のアダプターのプロパティを開き、「インターネット プロトコル バージョン 4(TCP/IPv4)」のプロパティで手動設定を行います。



IPアドレスはルーターのDHCP割り当て範囲外の数値を指定しましょう。サブネットマスクは通常「255.255.255.0」、デフォルトゲートウェイとDNSサーバーにはルーターのIPアドレス(多くの場合「192.168.1.1」や「192.168.0.1」)を入力します。
スマホ(iPhone/Android)でプライベートIPを固定する方法
iPhoneの場合は、「設定」→「Wi-Fi」→ 接続中のネットワーク名の横にある「i」アイコンをタップ →「IPを構成」で「手動」を選び、IPアドレス・サブネットマスク・ルーターを入力します。
Androidの場合は、「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」→ 接続中のネットワークを長押し →「ネットワークを変更」→「詳細設定」でIP設定を「静的」に変更します。機種やOSバージョンによって画面が異なるため、設定画面が見つからない場合は機種名とあわせて検索してみてください。
グローバルIPを固定する方法
グローバルIPを固定するには、大きく2つの方法があります。
- プロバイダの固定IPオプション
-
現在契約中のプロバイダが対応していれば、オプション申し込みだけで利用開始できます。自宅のルーターに固定IPが直接割り当てられるため、端末側の設定は不要です。ただし、固定IPが使えるのは自宅の回線に限られます。
- VPN型固定IPサービス
-
端末にVPNアプリを設定して接続する方式です。プロバイダや回線に依存せず、どこからでも同じ固定IPを利用できます。回線を乗り換える必要がなく、最短即日で導入可能です。
IPアドレス固定のデメリットに関するよくある質問
IPアドレスを固定すると速度は遅くなりますか?
プライベートIPの固定は通信速度に影響しません。グローバルIPの固定も、プロバイダオプションの場合は速度低下はほぼありません。VPN型サービスの場合は暗号化処理のオーバーヘッドにより若干の速度低下が起きる可能性はありますが、WireGuard対応のサービスであれば体感できないレベルです。
個人でもグローバル固定IPは必要ですか?
一般的なWebサイト閲覧や動画視聴、SNS利用だけであれば不要です。ただし、フリーランスでクライアントのIP制限環境にアクセスする場合や、自宅サーバーを公開する場合、オンラインゲームのサーバーをホストする場合などは導入を検討する価値があります。
スマホのIPアドレスを固定するデメリットはありますか?
スマホのプライベートIPを固定する場合、別のWi-Fiネットワークに接続した際に設定が競合して接続できなくなる可能性があります。自宅のWi-Fiでのみ固定IPを設定し、外出先では自動取得(DHCP)に戻すのが安全です。
固定IPアドレスの確認方法は?
グローバルIPは「確認くん」などのWebサービスにアクセスすれば表示されます。プライベートIPはWindowsなら「ipconfig」コマンド、Macなら「ifconfig」コマンド、またはネットワーク設定画面から確認できます。
IPv6でも固定IPは使えますか?
IPv6でも固定IPの利用は可能ですが、対応しているプロバイダやサービスはまだ限られています。現時点ではIPv4での固定IPサービスが主流です。IPv6環境でIPv4の固定IPを利用したい場合は、VPN型サービスを利用する方法もあります。
IPアドレス固定のデメリットまとめ
IPアドレスの固定にはグローバルIPの固定とプライベートIPの固定があり、それぞれデメリットの性質が異なります。
グローバルIPの固定では、追加コスト・セキュリティリスク・対応プロバイダの少なさが主なデメリットです。一方、プライベートIPの固定では、IPアドレスの競合や端末ごとの設定管理が課題になります。
ただし、いずれのデメリットも対策可能なものばかりです。グローバルIPのコスト問題はVPN型の固定IPサービスで月額500円台から解消できますし、セキュリティリスクはファイアウォールやVPN暗号化で軽減できます。プライベートIPの競合もDHCP範囲外のアドレスを指定するだけで防げます。
固定IPの導入を迷っているなら、まずは無料期間のあるサービスで実際に試してみるのが確実です。使ってみて不要だと感じれば、無料期間中に解約すればコストはかかりません。
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